私はタスク管理、スケジュール管理が苦手である。
幼少のころは、夏休みの課題は最終日に泣きながらやる。
学生時代の試験勉強も、テストぎりぎりに詰め込む。
社会人になってからも、タスクの締切日が近づいてきたらようやく手を付ける。
共有するスケジュールも、「作るように言われたから形だけ作っている」という意識が抜けなかった。
これまでは、タスク管理・スケジュール管理は「なんとなく」で何とかなってきた。
というよりも、何とかなってしまってきた。
組織の中で生活するうえで、タスク管理・スケジュール管理は必須の技能の一つであり、「なんとなく」では通用しなくなることが容易に想像できる。
当記事では、『発達障害の僕らが生き抜くための「紙1枚」仕事術』(小鳥遊 著)に記載されていた、タスク管理の手法『タスク詳細シート』を実際に1週間ほど実行してみて、即座に私が感じたこと、明らかになった今後の課題について紹介する。
この記事で記載する内容は、小鳥遊氏が該当書で紹介されているタスク管理の手法を実行した、私自身の意見に留める。具体的な手法に関しては、是非とも『発達障害の僕らが生き抜くための「紙1枚」仕事術』(小鳥遊 著)をお手元にとり、実際に読むことで知っていただきたい。
該当書タイトルには『発達障害』というワードが含まれているが、私自身は医師から発達障害という診断を受けたわけではない。ただ、私の特性とADHDの特性の間に共通点があることを実感している。
「紙一枚」仕事術によるタスク管理を実行し、即座に感じた2つのこと
- 頭がスッキリする感覚があり、常に感じていた不安が減った。
- まだ不安が湧いてくることがある(原因の予想は後述)。
以下に、詳細を記載する。
頭がスッキリする感覚があり、常に感じていた不安が減った。
エクセルに本書に書かれていた『タスク詳細シート』を作成し、そこにタスクを書き込み、サブタスクに分解、ステータス分類、着手日と締切日を書き込んでみて、即座に感じて事がある。
非常に頭の中がスッキリするのである。
この「スッキリ」は、以下のような要素が要因で得られたと考えている。
・「ワーキングメモリ」の整理
・「完璧主義者」としての納得
「ワーキングメモリ」の整理
ワーキングメモリ(Working Memory)とは認知心理学において、情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構成概念である。作業記憶、作動記憶とも呼ばれる。ワーキングメモリの構造や脳の関連部位を調べる研究が多数行われている。一般には、前頭皮質、頭頂皮質、前帯状皮質、および大脳基底核の一部がワーキングメモリに関与すると考えられている。
ワーキングメモリ | https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A1%E3%83%A2%E3%83%AA
ワーキングメモリは、頭の中の作業台のようなものであると理解している。
作業台が散らかっていると、必要な道具も見つからず、落ち着いて作業ができない。
ワーキングメモリも同様で、必要な情報が脳内でごちゃごちゃしていると、仕事や勉強も円滑に進められなくなる。
これまでは、常に頭の中に様々なタスクがあった。
仕事中は、頭の中のやるべきことに脳のリソースを占拠されていた。
数十分の仕事をしては、他のタスクが急に気になって、そちらに手を加え、しばらくしたらまた他のタスクが浮かんできて…ということを繰り返してきた。
すなわち、ワーキングメモリが未達成のタスクたちに占拠されていた。
まさに、整理整頓されていない作業台である。
むしろ、これが自然なことで、「頭の中に沢山のやるべきことがある」状態こそが、「仕事を頑張っている」状態である、というある種の認知の歪みがあったのかもしれない。
しかし、手順通りに『タスク詳細シート』に書き込みを行った結果、頭の中が「片付いた」感覚が湧いた。
それと同時に、これまで漠然と感じていた不安が少しだけ晴れたような感覚があった。
というより、自分の心には常にタスクが頭の中にあることによる「不安感」が存在していたことに、はじめて気が付いたと言える。
ここから衝撃的な事実が発覚した。
「あ、自分にはこれまで『タスク管理』という概念がそもそもなかったんだ」
信じられないかもしれないが、本当にそう感じた。
これまでのタスクとは私にとって、
時間というベルトコンベアに乗って私の目の前に現れるもの、
私の目の前に来たら手を動かして処理するもの、
という意識だった。
頭の中はタスクでいっぱい、ワーキングメモリも少ない。
そんな状態で、未来のタスクまで見据えて脳の負荷が増すことが「めんどくさい」。
これまで感じてきた漠然とした「不安感」は、その「めんどくささ」から逃げてきた結果の「不安感」だったのだろう。
「完璧主義者」としての納得
これまでも、ネットで何となく調べたタスク管理を試したことはあったが、永くは続かなかった。
これは私の「完璧主義」によるものであろう。
世の中には、多種多様・千差万別のタスク管理法が存在する。
その中で、「どこかに自分にぴったりのタスク管理法があるに違いない」という根拠のない夢想があったのかもしれない。
実際には、仮に完璧に自分に合っていなくても、粗があっても、一つの方法を具地区に続けていく方が、えり好みして実行しないよりも何倍もよいことは言うまでもない。
それでも、自分の中の完璧主義は、事実から目を背けて、今絶望的に悪いわけではないから、今は完璧な方法を探す方が長い目で見たらよい結果になる、という無根拠の自身にすがっていたのだと思う。
『発達障害の僕らが生き抜くための「紙1枚」仕事術』は、1冊の書籍である。
その内容は、実際のタスク管理法の手順や効果の説明だけでない。
なぜそのような手法になっているのか原理説明、
目指すべき目標、
獲得すべきマインドセット、
上から目線のようになり大変恐縮であるが、あえて言葉を選ばずに述べるなら、「完璧主義者」を気分良く納得させてくれる内容であったと言える。
加えて、「完璧にタスク詳細シートを作成する必要なない」ということも述べられている。
「完璧主義者」の苦悩や不安に寄り添う記述が、ところどころに散りばめらえており、完璧にできるか分からない中でも実行するだけの「勇気」を貰えた。
「紙一枚」は、あなたの心を追い詰めるためのものではなく、あなたの心を受け入れ、落ち着かせるためのツールです。最初から「完璧な1枚」を作る必要はありません。
発達障害の僕らが生き抜くための「紙1枚」仕事術|小鳥遊
まだ不安が湧いてくることがある
さて、これまでは「タスク詳細シート」を実施して、即座に感じたことである。
それから数日ほどして、新たに感じたことがあった。
まだ多少の不安感が残っているのである。
また、この不安感は、上で和らいだ旨を記載した不安感とは別種の不安感であるような気がしている。
まだ完全な自己分析は済んでいないが、おおむね不安感の正体は以下のようなものだと考えている。
- 後回しにしてきた、タスクの山を直視した時の「不甲斐なさ」
- 後回し癖で、周囲に迷惑をかけてきり、組織の利益を最大化できてこなかったりしてきた「後ろめたさ」
- タスク処理に必要な労力を見誤り、締め切り設定を達成できなかった「やましさ」
- タスク管理をせずに、これまでの人生で逃してきたチャンスを実感した時の「後悔」
一方で、これらの「不安感」の発生源は、「紙一枚」仕事術の不備ではなく、私の心であることは明確である。
具体的には、私が持っている「自己肯定感の低さ」である。
この問題に関しては、徐々に自尊心を育んでいくしかないだろう。
気長に、「やるべきこと」をやり、自分の心と向き合っていこうと思う。
「やるべきこと」=「タスク」は、「紙一枚」が教えてくれると信じて。
さいごに
「紙一枚」仕事術との出会いは、私にとって、これまで“なんとなく”で過ごしてきた自分と向き合う、貴重な機会となった。
ワーキングメモリを整理し、頭の中をスッキリさせる効果を実感した。
その一方で、後回しにしてきたタスクへの不安や、自己肯定感の低さという課題に直面した。
これからも「紙一枚」を頼りに、より良い自分を目指して、精進を続けていきたい。
また、上でも少し述べたが、『発達障害の僕らが生き抜くための「紙1枚」仕事術』(小鳥遊 著)では、具体的な方法論の身でなく、タスク管理に苦悩する人々への共感と寄り添いに溢れた書籍であった。
是非ともお手元にとって、ご自身で読んでいただきたと心から思う。
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